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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

犬の胆嚢摘出術
⚫︎胆嚢とは
胆嚢は肝臓で作られた胆汁という分泌物を貯める働きを持つ器官です。
胆嚢に貯められた胆汁は、食事をした時に総胆管という管を通り、十二指腸に分泌されます。十二指腸へ移動した胆汁は脂肪を分解し水に溶けやすい状態にし、脂肪の吸収を助ける役割をします。
以下が簡単な模式図です。
⚫︎胆石症/胆泥症とは?
胆汁は元々はサラサラの液体成分ですが、様々な原因により、石のように硬く固まり、胆石を形成することがあります。
また、胆汁がドロドロの成分になってしまうことは胆泥といいます。胆石があることを【胆石症】、胆泥があることを【胆泥症】といいます。
この、胆石症・胆泥症はどちらの場合も軽症の場合は無症状のことが多く、健康診断などで偶発的に見つかることが多いです。
しかし、胆石や胆泥により胆嚢や胆管(胆汁の通り道)に炎症が起きたり(胆嚢炎/胆管炎)、胆管の閉塞、閉塞による胆嚢破裂が起きると急に症状が出てくることがあります。

⚫︎症状
食欲不振、嘔吐、腹部痛などの他に、特徴的なものとしては体が黄色くなってしまう黄疸という症状が出ることがあります。
飼い主様が黄疸がわかりやすい箇所には歯肉や尿、耳の内側、白目などがあります。
⚫︎胆嚢摘出術
胆嚢炎の悪化や胆管閉塞、胆嚢破裂など症状を示す場合、繰り返す場合に胆嚢摘出術が適応となります。
以下、実際に胆嚢摘出を行った症例です。

【症例】
年齢:12歳 犬種:チワワ 体重:2.9kg
肝臓の数値が悪く、薬はずっと飲んでいるが食欲不振が続いているとのことでかかりつけ病院さんの紹介で来院されました。
以下、術前のレントゲン画像です。
CT検査の結果、胆嚢、胆嚢から十二指腸につながっている管である総胆管にも多量の胆石が認められました。
当院では腹腔鏡を用いた胆嚢摘出術も行っておりますが、総胆管に胆石がある場合、適応とならないため開腹手術にて胆嚢摘出、総胆管洗浄の手術を実施しました。
術後はすぐには体調は良化しませんでしたが、2週間ほどで食欲・元気も改善しました。

術前の症状が深刻であったり基礎疾患があると術後の合併症の発生率、死亡率が高くなります。
胆石、胆泥があり、経過観察をする場合は定期検診で肝酵素や白血球数、炎症の数値等を含めた血液検査や超音波検査が推奨されます。
徐々に進行するようであれば手術を提案することがあります。
腹腔鏡手術で予防的に摘出する方法もあります。 〈腹腔鏡下胆嚢摘出術〉
おうちのわんちゃんに何か症状がある、気になることがあればお気軽にご相談ください。


執筆担当
獣医師 小針

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