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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

犬の歯科処置(スケーリング)
2歳以上の80%の犬でなんらかの歯周病徴候があると言われています。

⚫︎そもそも歯周病とは?
原因となるのは歯垢に潜む細菌です。
歯石はそれ自体が悪さをしませんが、増悪因子のひとつです。
歯は、歯周組織(セメント質・歯槽骨・歯肉・歯根膜)によって支えられています。
歯周病とはその歯周組織が破壊・吸収されることで歯を失う進行性の病気です。
歯周病が悪化すると歯を支えている骨の吸収がすすみ、歯肉の退縮や歯の動揺が起こります。
さらに進行すると口腔鼻腔瘻(口腔と鼻腔がつながってしまう)や顎の骨の骨折など、さらには血行性に腎臓や心臓や肝臓などの内臓に影響を及ぼすことがあります。

⚫︎歯周病の症状
歯周病の症状には以下のようなものがあります。
・口腔内の出血
・よだれ
・口臭
・排膿
・硬いものを食べたがらない(疼痛)
・鼻汁
・くしゃみ
・口腔周囲(特に眼の下、頬)の腫脹

おうちのわんちゃんの口の中をのぞいてみて確認してあげましょう。

⚫︎治療
治療方針はその子その子の歯の状況によって変わってきます。
軽症のこの多くは歯石除去(スケーリング)とお家でのデンタルケアで治療を進めていきます。
中程度〜重症の子では抜歯も選択肢のひとつになってきます。
当院で行った歯石除去の術前と術後の写真です。
⚫︎当院では、全身麻酔をかけての歯科処置をおこなっています。
近年、トリミングサロンや一部の動物病院で無麻酔での歯科処置が取り上げられています。
しかし、無麻酔の歯科処置は、押さえつけることでの四肢の骨折・歯の破折・口腔内の裂傷などの事故や肺炎・心不全などの合併症が多いのも事実です。
また、見た目は綺麗に見えますが1番大切な歯周ポケットの奥まで処置できていないことから、歯周病が改善しないことがあります。
怖い思いから一切口を触れなくなくなり、自宅でのデンタルケアができなくなったというのも珍しくありません。
これらの理由から当院では無麻酔での歯科処置は行なっておりません。
もちろん、麻酔をかけるリスクもあるので手術前にしっかりと検査(身体検査・血液検査・レントゲン検査、場合により追加検査)を実施しています。

⚫︎最後に
人と同じように、わんちゃんにとっても毎日の歯磨きは大切です。
しかし、多くのわんちゃんは口の中を触られるが苦手です。また、すでに歯周病がある子に歯磨きをすると痛みもあるためさらに苦手になってしまうこともあります。
残念ながら歯科処置をしても、自宅でのケアができない場合すぐ歯石がついちゃう…ということもあります。おうちでのデンタルケアについてもお気軽にご相談ください。


執筆担当
獣医師 小針

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