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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

消化管の内視鏡下生検でリンパ管拡張症を診断した犬
<概要>
3週間以上に渡り定期的に嘔吐が続く事を慢性の嘔吐と言います。慢性嘔吐を呈する病気としては
慢性膵炎、食事が合っていない、糖尿病、慢性腎臓病、消化器疾患などがあります。
その中で消化器疾患としては
異物誤飲、腫瘍、寄生虫、慢性の炎症などがあります。
<症例>
10歳の去勢済みのミニチュアピンシャー。
歯の処置で全身麻酔をする為の術前検査にて血液中のタンパクの値であるアルブミンの低値を認めました。
低アルブミン血症を認める病態は
①タンパク質の合成の場である肝臓に疾患がある
②腎疾患によってタンパク質が尿中に漏れ出る
③タンパク質が消化管から漏れ出る
④食事の問題
があり、今回①②④は事前の血液検査や尿検査で除外されました。
この子は3週間以上の慢性の嘔吐も認めていた為、③の消化管の疾患を疑い消化管の内視鏡下での生検を実施しました。
生検は内視鏡(いわゆる胃カメラ)を専用画面で見ながら、専用器具を用いて胃、十二指腸からそれぞれ複数箇所から行いました。
内視鏡カメラで腸の観察を行っている写真です
専用器具を用いて腸の生検を行っている写真です
検査は全身麻酔ですが麻酔後問題なければ日帰りで帰れます。
病理結果は十二指腸の『リンパ管拡張を伴うリンパ球形質細胞性腸炎』という診断でした。
この病気はタンパクが腸のリンパ管を通して漏れ出る病気で、治療は療法食の低タンパク食を食べてもらいながら、ステロイドや免疫抑制剤、サプリメントなどを用いて治療を行います。
アルブミンの役割の一つに血管の中に水分を引きつける役割があり、重度にアルブミンが低下してしまうと、水分を血管内に保持できなくなり腹水が貯留してしまいます。
またアルブミンの低下と伴に重度の下痢、嘔吐や食欲不振を呈する子も少なくありません。
今回偶発的に症状がまだそ子まで重くない時点で見つかった為、早期に治療を開始することができました。このように偶発的に病気が見つかることも珍しくはないので6−7歳以上の犬猫に関しては、しっかりと健康診断を行ってあげる事も重要です。
また慢性の嘔吐や下痢の犬猫で内視鏡に興味がある方はお気軽にご連絡ください。


執筆担当
動物医療センター赤坂
獣医師 西田