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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

猫の尿道閉塞
●尿道閉塞とは
腎臓で生成された尿は尿管を通過して膀胱に蓄えられたのち、尿道を通って体外へ排出されます。尿道は膀胱と尿の出口を結ぶ1本の管であり、雌よりも雄の方が細くて長いことが特徴です。
尿道閉塞とは尿道狭窄や尿路結石、血餅、炎症に由来する成分などにより尿道が詰まった状態を指します。構造上の理由から雄での発生が多く、完全な閉塞では急性腎障害により命に関わる危険な状態に陥ることがあります。閉塞してからの時間や閉塞の程度によって異なりますが、尿道閉塞の症状として排尿時の緊張や陰茎周辺をなめる、排尿時に鳴く、血尿、尿の滴下などがみられます。閉塞後36~48時間以上経過すると、意識レベルの低下や嘔吐、低体温、不整脈などを示します。

●症例
ノルウェージャン・フォレストキャット 未去勢雄 6ヵ月齢
前日から排尿がなく、元気低下がみられるため来院されました。1週間前から膀胱炎の症状が続いており、2日前の尿検査ではストルバイト結石が検出された症例です。腹部の触診では膨れて硬くなった膀胱が蝕知され、超音波検査では膀胱内の結石と高度の蓄尿が認められました。

●治療
陰茎の先端から尿道カテーテルを挿入したところ陰茎先端部から2cmほど進めたところで閉塞が認められました。表面麻酔剤を含むゼリーと生理食塩水を混ぜた液体をカテーテルから注入し、数回圧力をかけて閉塞を解除したところ血尿が回収されました。その後、尿道カテーテルを設置し、入院管理により尿量のモニタリングと輸液量の調節、血液検査による腎機能の評価を実施しました。

●経過
入院1日目は尿量が少ない状態が続いたため、夜間から利尿効果のあるカルペリチドの投与を開始しました。入院2日目の朝、炎症産物による尿道カテーテル内での閉塞を認めたため閉塞解除を行ったところ、透明な黄色の尿が抜去されました。その後は尿量が増加し、一過性の多尿期を経たのち正常量に安定しました。幸い入院中の血液検査において腎機能の障害は認められず、入院3日目に退院となりました。

●まとめ
尿道閉塞は雄で多く発生し、閉塞による腎不全から死亡に至ることもあります。閉塞解除後は尿量に応じた輸液量の調節や、腎機能の評価、薬剤投与による治療を行うため入院による管理が必要です。

執筆担当
獣医師 佐藤

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