腹腔鏡下で胆嚢摘出を実施した犬
【はじめに】
犬の胆嚢は、肝臓のやや尾側にある直径3-8cm程の小さな袋のような臓器です。胆嚢の中には「胆汁(たんじゅう)」という黄色から緑色をした液体がたまっています。胆汁は、脂肪を消化して体に吸収しやすくするために欠かせないものです。
犬がごはんを食べると、とくに脂っこいものを食べたときに、胆嚢はきゅっと縮んで胆汁を腸に送り出します。そのおかげで、食べ物の脂肪を効率よく分解してエネルギーに変えることができます。
胆嚢はトラブルも起こりやすく、犬では「胆泥症」、「胆石」や「胆嚢粘液嚢腫」といった病気がよく見られます。まれに胆嚢が破裂して命に関わることもあるため注意が必要です。
腹腔鏡下での胆嚢摘出は、胆嚢が破裂してしまう前に低侵襲外科で摘出することで症状を引き起こさせない事が目的です。
犬の胆嚢周囲
【腹腔鏡手術について】
腹腔鏡手術は、お腹を大きく切らずに、小さな穴(1-2cm程度)を数か所あけて行う手術です。
その穴から「カメラ」と「細い手術器具」を入れて、モニター画面を見ながら臓器を処置します。
当院では主に、避妊手術、膀胱結石摘出術、腹腔内精巣摘出術、肝臓生検、胆嚢摘出などよく行っています。
🟢 メリットとデメリット
(メリット)
•傷が小さく、痛みが少ない
•回復が早い(入院が短くて済むことも)
•傷跡が目立ちにくい
•拡大された映像を見ながらの手術で安全性が高い
(デメリット)
•特別な機械と技術が必要 → できる病院が限られる
•状況によっては途中で「開腹手術」に切り替える必要がある(例:胆嚢破裂など緊急時)
•費用がやや高めになることがある
🟢 術後の生活
•基本的には回復が早く、数日で普段通り動けるようになります。
•傷口が小さいので、舐めたりこすったりしないよう注意する程度です。
【腹腔鏡下での胆嚢摘出について】
•お腹に小切開を4箇所加えて、カメラと器具を入れ、モニターを見ながら胆嚢を摘出します。
(メリット)
•傷が小さい → 痛みが少なく術後の回復が早い。最短手術翌日退院。
•出血が少ない
(デメリット)
•特殊な設備と技術が必要(できる病院が限られる)
•胆嚢が既に破裂している場合は難しく、開腹手術に切り替わることがある
🟢 適応になる病気
•胆嚢粘液嚢腫(破裂前に見つかった場合)
•胆泥症が重度で改善しない場合
•胆石症で胆汁の流れが悪くなっている場合
【症例】
犬種:柴犬
性別:避妊済
年齢:12歳
体重:8.8kg
初期の胆嚢粘液嚢腫と肝数値がやや高値ということで、セカンドオピニオンとして来院されました。
血液検査、ホルモン検査、レントゲン検査、超音波画像検査、CT画像検査を実施して腹腔鏡下での胆嚢摘出が適応と判断し、手術を実施しました。
手術は順調に終わり、術後の経過も順調で翌日にはご飯を食べてくれたので手術翌日の最短での退院となりました。
(※この子はやや入院下で興奮してしまう性格だったので早めに退院しましたが、通常は念のため2泊、3泊の事が多いです。それでも開腹した場合は7日程度入院が必要ですので、だいぶ入院期間は短いです。)
術後1週間で抜糸が済み元気に元の生活に戻ってくれました。
【最後に】
犬の腹腔鏡下での胆嚢摘出はまだあまり多くの施設では実施されていません。
もし低侵襲での犬の胆嚢摘出を検討されている方がいましたら、お気軽に東京都港区赤坂にある動物医療センター赤坂までお気軽にご連絡ください。
執筆担当
獣医師
西田

腹腔鏡下胆嚢摘出の術創