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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

猫の尿管結石
猫は元々は砂漠に生息した動物で、水をあまり飲まずに進化をしてきました。その影響で、猫は歳を取るにつれて腎泌尿器の問題を呈する子が多くいます。特にこれからの冬の時期は冷たい水を嫌い、更に水を飲まなくなる子が多くなり、それに伴い腎泌尿器の問題が多くなりますが、本日はその中の一つの尿管結石についてお話し致します。
<病態>
尿管とは尿を生成する腎臓と、尿を体外へ排泄するまでの間貯留する膀胱との間に存在する直径1mm程の管のことをいいます。
尿管は筋肉でできた管で腎臓で作られた尿はこの尿管を通って膀胱に流れ込みますが、その尿の流れは重力だけによるものではなく、尿管の緩やかなぜん動運動(波打つような動き)によって、少量ずつ膀胱に送られていきます。
多くの場合、猫の尿管結石は腎臓で結石が生成されたものが、あるタイミングで尿管に入り込み膀胱まで流れずに留まってしまうことに起因します。
尿管に結石が詰まってしまい、尿を腎臓から体外へ排尿を排泄できなくなると、腎機能が著しく低下し、その後身体に毒が回ってしまい非常に重篤な状態に陥ることがあります。
<治療> 一般的に尿管結石の閉塞による急性腎不全の場合は、その子の状態にもよりますが、まずは結石を膀胱まで流し、閉塞を解除する為の内科療法が試みられることが多いです。内科療法を試みることのできる時間は数時間〜数日です。これは尿管結石が閉塞している時間が長ければ長いほど、仮に閉塞がその後解除されたとしても不可逆的な腎臓のダメージが原因で腎機能が回復しないことが多い為です。
内科療法に反応しない場合は外科療法が選択されます。尿管に詰まった石が1-2個の少数の場合は、尿管を切開して直接結石を取り出す、尿管直上切開による結石除去術が試みられます。しかしながら1mmの尿管を切開して結石を取り出すことは非常に繊細な処置が求められる為、結石が尿管の内側の粘膜に埋まってしまい摘出できないような子や、結石が多数尿管に存在する子、何度も閉塞を再発している子、などはこの手術の適応とはなりません。
尿管の直上切開による摘出が難しい場合は、当院ではここ近年日本で行われるようになったSUB(Subcutaneous Ureteral Bypass)システムという腎臓から膀胱に人工バイパスを設置する手術を多く行っています。
術後の感染予防や、バイパスの石灰化を防ぐために定期的に来院して頂きバイパス内の洗浄を行う必要がありますが、バイパスの内腔が本来の尿管よりも太いことや、結石がバイパス内に閉塞しても、無麻酔で実施可能な洗浄をすることで開通する可能性があることもあり、尿管閉塞による急性腎不全の再発予防には非常に大きな効果があると言えます。何より内科療法でなかなか助けてあげれなかった命を助けてあげることができるので、非常に画期的な手術です。
ご興味、ご質問ある方はどうぞお気軽にご連絡ください。
執筆担当
獣医師 西田
※青丸は左右腎臓に挿入したSUBの一部。赤丸は膀胱に挿入したSUBの一部。緑丸は洗浄用の皮下のポートです。