Menu
instagram Facebook

最新5件

※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

犬猫の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
暖かい季節になり草むらにマダニが多く出る季節になりました。
犬や猫がマダニに噛まれると、マダニに長時間吸血される事により、貧血を起こす可能性があります。また、マダニの唾液がアレルゲンになり痒みを伴う皮膚炎になることもあります。
その他にもマダニが媒介する病気にかかってしまうことがあり、バベシア症やエールリヒア症がここに含まれます。
上記の症状や病気は昔から知られていることでしたが、マダニ媒介の病気で2017年に初めて日本で発見された病気があります。それが重傷熱性血小板減少症(SFTS)です。SFTSは元々人のかかる病気として2011年に発見されましたが動物にも感染する事がわかってきました。本日はSFTSについて少し詳しくお話し致します。
※箱根で犬に付着した吸血前のマダニの写真です
【疫学】
マダニに咬まれてSFTSウイルスに感染します。犬と猫の両方に感染リスクがあります。野生動物から高確率に抗体が検出されており、多くのマダニからウイルス遺伝子が検出されていることから、野生動物とマダニの間でウイルスの生活環が形成されていると考えられています。

【流行地域】
国内では西日本中心(温暖化に伴い今後東日本で発生する可能性あり)

【発生報告】
犬 370頭 猫19頭

【致死率】
犬 約40% 猫 約60%

【症状】
元気食欲の低下、発熱、黄疸(猫)、血小板数の減少、下痢や嘔吐など
重傷化で痙攣などの神経症状が見られることもあります。
【診断
SFTSウイルス遺伝子の検出
検体が感染性である可能性がある為検体の扱いには注意が必要となります。

【治療】
まだ根本的治療法はなく、対症療法や支持療法が中心です。症状のピークは発症後約7日です。ウイルスの排泄期間は約2-3週間継続すると考えられています。

【予防】
ワクチンはない為マダニから咬まれることを防ぐのが一番です猫であれば室内飼育の徹底と、犬も猫もマダニの予防薬が推奨されます。

※動物の体液、血液、排泄物を介して人間にも感染する可能性がありますので、万が一SFTSと診断された際は十分に気をつけて、対応を獣医師に相談してください。
また犬や猫がマダニに咬まれてしまった際は、無理に引き剥がそうとしてしまうとマダニの口器が皮膚に残ってしまい化膿してしまう事がありますので、咬まれた際もすぐに獣医師にご相談ください。

執筆担当
獣医師 西田

症例報告一覧