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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

犬の椎間板ヘルニア
⚫︎椎間板ヘルニアとは?
椎間板ヘルニアは、犬で最も多い脊髄の病気です。
脊椎(背骨)の間にある椎間板物質が、脊髄(神経)の通っている脊柱管の中に出てきて脊髄を圧迫することによって発症します。ヘルニアを起こしている場所や脊髄の圧迫の程度によって症状が異なります。複数箇所で発生することもあります。
本来、椎間板は骨と骨の間にあり、衝撃を吸収するクッションの役割をしていますが、遺伝性もしくは加齢により椎間板の変性が起こってしまうことがあります。
遺伝性に起こりやすい犬種としては、ダックスフンド、ペキニーズ、フレンチブルドッグがあげられます。これらの犬種では椎間板ヘルニアを発症する確率が非常に高く、比較的若齢(3〜5歳)での発症が多いです。
⚫︎症状
主な症状は痛みと麻痺です。
頸部の椎間板ヘルニアの場合、首を触ると嫌がる、首を動かさなくなり、上目遣いになることが多いです。
胸部〜腰部のヘルニアの場合、背中を触ると嫌がる、抱っこをした時に嫌がるなどの症状がみられます。
また、脊髄は脳からの命令を体に伝えていますが、椎間板ヘルニアで脊髄が圧迫されることで命令がその部位より後ろに伝わらなくなり、麻痺を引き起こします。
軽度の麻痺であればふらつきだけのこともありますが重度になると歩行ができなくなることがあります。椎間板ヘルニアのグレード分類は以下の通りです。
⚫︎診断と治療
以下が診断から治療までの流れです。
脊髄の圧迫、症状が軽度な場合、鎮痛剤の服用・ケージレスト(安静)により治療し症状が改善することがあります。
しかし根本治療ではないため再発してしまう可能性もあります。
重度な場合には脊髄を圧迫している椎間板を取り除く、外科治療が推奨されます。特に上記のグレード5の場合には緊急的な精査、外科治療が必要になります。

⚫︎予後
脊髄障害が軽度であれば、予後は良好です。
重度な場合は四肢の麻痺や排尿障害等の後遺症が残る場合があります。
重度の脊髄障害の場合、稀に【進行性脊髄軟化症】という脊髄の壊死を引き起こすことがあり、その場合は予後が非常に悪いです。

上記の症状が出た場合は早めにご相談ください。


執筆担当
獣医師 小針

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