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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

猫の下部尿路疾患『会陰部尿道造瘻術』
⚫︎猫の下部尿路徴候とは?
膀胱から尿道までを下部尿路といいます。  
この膀胱から尿道までの下部尿路に異常がある時、頻尿や血尿、排尿痛(おしっこをする時に鳴いたり、踏ん張っているような行動)、トイレ以外での排尿などが見られることがあります。
これらを下部尿路徴候といいます。
この下部尿路徴候が起きる原因としては膀胱炎、結石、感染症など様々なものがあります。
そのまま放っておくと、急性腎不全や尿毒症、膀胱破裂など死につながることもあります。
下部尿路疾患の治療には内科療法や食事療法などで完治できるものもありますが、外科的療法が必要になることもあります。
今回はその外科的療法である『会陰部尿道造瘻術』を紹介します。

⚫︎会陰部尿道造瘻術
会陰部尿道造瘻術とは会陰部(肛門周囲)に直接尿道を開口し、十分な自力排尿を可能にさせることを目的とする手術です。
下部尿路徴候が重篤化、または慢性化した時に実施します。
雄猫の方が雌猫よりも尿道が細く、長いため重篤化することが多く、一般的には雄猫が手術適応となります。
適応する条件は以下の通りです。

⚫︎会陰部尿道造瘻術が適応となった猫ちゃんの一例
現在6歳で、何度かストラバイトによる尿道結石を繰り返していました。
尿道結石による尿道の閉塞を解除するためには、ペニスから細いカテーテルをいれて水圧で結石を膀胱に押し戻しますが何度も再発を繰り返すと炎症が起き、尿道狭窄を起こしてしまうことがあります。
ストラバイト結石は一般的には内科療法や食事療法で溶けるのですが、治療をしてもなかなか好転しなく、少量頻回尿を繰り返していることから会陰部尿道造瘻術適応と判断しました。
手術後は数日間膀胱にカテーテルをいれておくことでおしっこがちゃんと出ているかモニタリングを行います。
この猫ちゃんでは5日目にカテーテルを抜去し6日目に退院しました。
退院後初日と3日目は血尿が出ましたが、その後は頻尿も落ち着き、良好な経過をたどっています。

おうちの猫ちゃんに頻尿・血尿がある・違う場所でおしっこをしている・おしっこをしたときに鳴くことがある・陰部をよく舐めるなどなにかいつもと違ったことがあると気づいた時はまずはご相談下さい。



動物医療センター 赤坂
獣医師 小針

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